第100作目となる朝ドラ「なつぞら」
広瀬すず主演の今作は、戦争を機に両親を亡くし、兄妹とも別れ離れとなってしまった少女が主人公です。
身寄りのなくなった主人公・なつは、父親の戦友だった、北海道の酪農家の婿養子に引き取られ、牧場を手伝いながら高校を卒業し、漫画家を目指すというストーリー。
そんな朝ドラ「なつぞら」の各話ごとのあらすじをネタバレでご紹介します。
第73話
「自分がどう生きるかは自分自身が決めることだ。」なつ(広瀬すず)は雪次郎(山田裕貴)が悩んでいることを自分の経験からわかっていたが、雪次郎の父・雪之助(安田顕)や母・妙子(仙道敦子)、祖母・とよ(高畑淳子)らのことを思うと雪次郎を引き止めるしかなかった。
「お前の親父から預かっている。」上司の杉本平助(影山泰)に相談した雪次郎だったが、雪次郎が菓子職人をやめて役者の道に行くことを許せるのは、雪之助しかいないと話す。こうして雪次郎はしばらくは「川村屋」で働き、家族に手紙を出す。
雪次郎のことを自分のことのように悩むなつは、以前、坂場一久(中川大志)から直しを要求された馬と牛若丸の動きを、下山克己 (川島明)が書き直した原画をもとに動画に再チャレンジすることになる。思うように作業が進まずにいたなつが、馬の動きを知る為に階段で馬になりきっていたとき、そこへ坂場がやってくる。なつは前日に聞きそびれた「アニメーションにしかできない表現」について聞こうとするが、坂場はアニメーターに対する敬意だと言い、自分で考えて今度教えて欲しいと言い残しなつの前から去っていく。
坂場の物言いに苛立ち、雪次郎のこともあり動画の制作は進まず、その日1日は過ぎていったが、なつは雪次郎自身が自由に自分を表現できるようになることを誰よりも願っていた。
第74話
数日後、なつ(広瀬すず)は徹夜をして牛若丸と馬の動画を仕上げることができた休日の朝、「風車」に小畑家一行がやって来る。雪次郎(山田裕貴)からの手紙を読み、店を閉めて東京に飛んできた雪之助(安田顕)、とよ(高畑淳子)、妙子(仙道敦子)たち。しかし会いに向かった「川村屋」の寮には雪次郎の姿はなくなつの元へやってきたのだという。「赤い星座」のオーディションに受かっていた雪次郎は、咲太郎(岡田将生)に相談した末にレミ子(藤本沙紀)と同じアパートの一室に匿われていた。雪次郎のところへ向かう前に「川村屋」へ向かった三人は、雪次郎がいたって真面目に働いていて、だからこそ、雪次郎本人にとっても家族から反対される事を知りながらも役者の道へ進むということは、とても大きな決断だったはずだという事を知る。しかし、雪之助はそれは甘えだといって引かない。
こうして雪次郎の元に向かった雪之助やなつたち。その頃咲太郎は雪次郎に、今こそ家族を説得してみろという。それは、雪次郎の覚悟が本物なのか確かめるためでもあった。こうして雪次郎はついに雪之助たちと再会する。
第75話
雪次郎(山田裕貴)の説得も虚しく雪之助(安田顕)は強引に雪次郎を「川村屋」へ連れ戻した上に、迷惑をかけてしまったといって、息子と共にしばらく「川村屋」で無給で働くことになる。話をこじらせると責められる咲太郎(岡田将生)だったが、雪次郎の母・妙子(仙道敦子)は咲太郎が雪次郎の夢を応援してくれたことに感謝していた。
そんな中とよ(高畑淳子)となつが、厨房の様子を見にいくと、雪次郎は泣きながら仕事をしていた。その様子を見かねたとよは、「覚悟を貫け!」と言い雪次郎を「川村屋」から出ていくように仕向け、さらにそれを止めようとする雪之助にビンタを食らわす。「自分の息子に惨めな思いさせるんでないわ!」とよの思い切った行動に、雪之助も従うほかなかった。
「川村屋」から家に戻る際、店の横の祠に手を合わせるなつは、その夜、動画を完成させるが、麻子(貫地谷しほり)や下山克己 (川島明)からは最後のもうひと押したりないと言われ、書き直しを指示される。なつが階段で馬の動きを確認していると、そこへ再び坂場一久(中川大志)が通りかかり、坂場は自分が馬の動きをして見せようかとなつに言葉をかける。そこまでしてもらわなくても大丈夫だと断ったなつは、階段で立ち上がった拍子にバランスを崩して階段から転げ落ちそうになるが、ギリギリで坂場に助けられる…。
第76話
「大丈夫ですか。」坂場一久(中川大志)に手を握られ助けられたなつは、その拍子に動画のアイデアが浮かぶ。それは、坂を下って暴れていた馬の前足を4本描くという斬新な手法だった。現実的にはあり得ないが、アニメの表現としては素晴らしい発想だと下山克己 (川島明)たちも納得する。
森田桃代(伊原六花)と昼食をとった後、作画課に監督の露木重彦(木下ほうか)が怒鳴り込んでくる。「馬の脚が4本あるのは不自然だ!」と主張する露木だったが、そのアイデアは麻子(貫地谷しほり)や仲 努(井浦新)や井戸原昇(小手伸也)たちも納得の上で仕上げたもので、正式に採用となる。
仕事終わりで雪次郎(山田裕貴)の元へ向かったなつは、雪次郎が「川村屋」へ戻ろうと迷っていること、さらに、引き続き雪之助(安田顕)が「川村屋」で働いていることを知り、一人、雪之助の元へ向かう。「雪次郎にも、雪之助にも夢や生き方があり、『雪月』は、とよ(高畑淳子)の生き方そのもので、その店を守り、雪次郎に継がせることが夢だった」という雪之助。なつは、それは間違っていないが、だからこそ、雪次郎は苦しんでいて、雪次郎もまた、家族を大事にして生きていると話す。
第77話
なつ(広瀬すず)と雪之助(安田顕)が、雪次郎(山田裕貴)について話しているところへ、光子(比嘉愛未)がバターカリーを持ってやって来る。なつは二人に北海道の家族から「自分らしい生き方を学んだんだ」と話す。雪次郎もまた、雪之助やとよ(高畑淳子)のように自分の夢を切り開いて生きてくはずで、それは、雪之助を裏切るようなことではない。光子もなつの意見に同意し、雪之助の目からは涙がこぼれ落ちていた。
その頃、雪次郎と二人で夕食をとっていた妙子(仙道敦子)は、役者になることを応援しているわけではないが、自分は雪次郎がやりたいことをいつでも応援したいと思っていると話す。
「あんたには私の夢まで背負わせて、苦労ばかりかけて悪かった…。」酒に弱いのにも関わらず「風車」で泥酔していたとよは、迎えに来た雪之助とともに家路につく。
二日後の朝、雪次郎は雪之助から「風車」に呼び出され、バタークリームのケーキを作りなつたちに認められるお菓子を作れと言われる。みんなが満足したら合格、しかしオーブンがないという状況に雪次郎はロールケーキという答えを出し、フランス菓子の基本とされる「ジェノワーズ」を完成させる。それは誰もが納得する本格的な味で、雪次郎は晴れて雪之助に認められることになる。「雪次郎…。何をするにも、これくらい努力して、これぐらい一生懸命頑張れ。」さらに雪之助は言葉を続ける、「諦める時は、潔く諦め、決して恥ずかしがらず帯広に戻ってこい。いつでも帰ってこい。」
こうして小畑家は、一つの夢を新宿に残し、北海道へ帰っていった…。
第78話
1958年の春。「わんぱく牛若丸」の美術と作画、仕上げの作業が終わり、公開を控えた東洋動画では”お疲れ様会”が開かれ、奥原なつ(広瀬すず)たちも参加する。
そこで麻子(貫地谷しほり)が意外に料理が上手いことを知ったなつだったが、「馬の脚を4本書いた」ということから皆の前で一曲歌うことになる。意を決したなつが歌ったのは誰も知らない「FFJ」の歌だった…。さらにその席でなつは、天陽(吉沢亮)が結婚することを陽平(犬飼貴丈)から教えられ、内心激しく動揺していたがその本心は隠していた。
店じまいした「風車」にいたなつの元に、信哉 (工藤阿須加)がやってきて、帯広支局に”偶然”転勤することになったという。さらに一度向こうに行ったら二、三年は戻ってこれないと話す。
間も無く「わんぱく牛若丸」は公開され、”子供が楽しめる漫画映画”として大ヒットとなる。
そんな中、「アニメーションにしかできない表現」の答えは見つかったか?と坂場一久(中川大志)から問いただされるなつ。坂場はなつが描いた4本足の馬は、そのことがわかったからなのかと思っていた。そして坂場はなつに説明する。「それは、ありえないことも、本当のように書くこと。ありえないことのように見せて、本当を描くくこと。それがアニメーションにしかできない表現。」大きな嘘でも、それによって表現し、本当の感覚を伝えることができる。それこそがアニメーションの本質という坂場の考えに、なつも深く納得するのだった。
こうして一年が経ったが、いまだになつの名前は映画のポスターに乗ることはなかった。その頃北海道と新宿が電話で繋がるまでに世の中は変化していた。なつが電話口の富士子(松嶋菜々子)に、「今年は北海道へ帰る」と約束をしていた頃、柴田牧場を訪ねる一人の女性の姿がった…。