第100作目となる朝ドラ「なつぞら」
広瀬すず主演の今作は、戦争を機に両親を亡くし、兄妹とも別れ離れとなってしまった少女が主人公です。
身寄りのなくなった主人公・なつは、父親の戦友だった、北海道の酪農家の婿養子に引き取られ、牧場を手伝いながら高校を卒業し、漫画家を目指すというストーリー。
そんな朝ドラ「なつぞら」の各話ごとのあらすじをネタバレでご紹介します。
第97話
1963年の夏。26歳になったなつ(広瀬すず)は、漫画映画「わんこう浪士」で初めて原画を担当した女性アニメーターとして取材を受けて雑誌に掲載される。
この頃咲太郎(岡田将生)の声優事務所も四谷を拠点に活躍の場を広げ、土間レミ子(藤本沙紀)は事務所の貴重な戦力として、さらに、雪次郎(山田裕貴)は外国ドラマであたり役を手に入れそれぞれが軌道に乗っていた。そんな中雪次郎の周りでは、蘭子(鈴木杏樹)との男女の関係がたびたび噂されていたが、雪次郎にとって蘭子はあくまでも憧れの人、目標とする人だと、なつは直接雪次郎の口から聞き安心する。
ある日なつは、作画課長になった仲 努(井浦新)と、制作部長になっていた井戸原昇(小手伸也)らに呼び出され、大ヒットして話題になっていた「鉄腕アトム」を追随する東洋動画のテレビ班への異動を命じられる。メンバーは動画を担当していた三村茜 (渡辺麻友)、演出家としてのデビューとなる坂場一久(中川大志)、そして、企画者でもあったコマーシャル班の猿渡竜男(新名基浩)だった。しかし坂場はフルアニメーションではない手抜きとも思えるテレビアニメには否定的な意見を持っていて、消極的な様子だった…。
第98話
「他の会社のことを真似するだけでは、いずれ大切なものを見失ってしまうのでは?」そう訴える坂場一久(中川大志)だったが、仲 努(井浦新)はフルアニメーションであってもなくても、やる価値はあるし、長編映画としてフルアニメーションの良さは守っていくと言う。
演出家デビューで喜ぶはずの坂場だったが、坂場はこのことに奥原なつ(広瀬すず)を巻き込んでしまったことに後悔していた。さらに上司である露木重彦(木下ほうか)からは、酒場が周囲に嫌われ、評価が良くないことは確かだが、それだからこそ、新しい場所でがんばれと背中を押される。坂場をテレビ班に推したのは露木本人だった。
こうしてなつ、坂場、三村茜 (渡辺麻友)、と元コマーシャル班の猿渡竜男(新名基浩)たちが東洋動画で新設されたテレビ班に配属されていた頃、小畑雪次郎(山田裕貴)にも転機が訪れていた。
赤い星座の公演「かもめ」で蘭子(鈴木杏樹)とともに主役に抜擢された雪次郎。しかし若手の俳優陣たちから配役に対して猛反対にあい、公演をボイコットされてしまう。雪次郎は、異議を唱えた俳優の虹田登志夫(栗原英雄)たちから能力を高く買われ、新たに立ち上げる劇団に参加して欲しいと言われる。しかし雪次郎は「自分の夢は蘭子と共演することだ」と、その誘い断る。この騒動には蘭子と雪次郎が恋愛関係にあり、蘭子が雪次郎を贔屓にしているという恋の噂の偏見があった。
かつて亜矢美(山口智子)も「ムーラン・ルージュ」で経験したことのある共演者同士のやっかみ。
そんな事実になつは、なぜか人一倍怒りを感じてしまう。
第99話
雪次郎(山田裕貴)の元へ行ったなつ(広瀬すず)とレミ子(藤本沙紀)。雪次郎にとって今回の主役抜擢は、夢が叶った瞬間でもあり、蘭子(鈴木杏樹)に対する恋愛感情などないと言う雪次郎に、なつもレミ子もその成功を心から応援する。
その頃なつが作画として所属するテレビ班が最初に手がける作品「百獣の王子サム」は、絵コンテが仕上がり作画段階へ入っていた。そこでなつは、テレビならではの省略化を経験し同時に新たな発見もしていた。それは坂場一久(中川大志)も同じで、これまで否定的だったテレビアニメの簡略化のなかであっても、しっかりと伝えられるものはあると気づき希望を見出すようになる。
蘭子は雪次郎との稽古の中で、雪次郎への想いを伝える。雪次郎が蘭子の芝居を初めて見たとき蘭子に伝えた「アマチュア精神が感じられるお芝居だった」と言う言葉。これは、蘭子に芝居を教えてくれた今はなき男性の先輩俳優が言っていた「本物の役者になるには、アマチュア精神を決して忘れるな」と言う言葉を思い出させるものだった。そして、蘭子はそのことを感覚的に掴んでいる雪次郎に、その先輩俳優の分まで人生をかけて本物の役者になって欲しいと願っていた。
こうして月日は過ぎ、雪次郎が初めて主演し、蘭子との共演という夢を叶えた舞台「かもめ」の幕を上がる。
第100話
1963年の秋、雪次郎(山田裕貴)が主役に抜擢され憧れの蘭子(鈴木杏樹)との共演を果たすことになったチェーホフの「かもめ」を原作にした「赤い星座」の舞台が幕を開け、公演を見に行ったなつ(広瀬すず)たちはその出来栄えに感動する。
その後「風車」で、咲太郎(岡田将生)手作りの天ぷらとともに公演の成功をお祝いする中、坂場一久(中川大志)は、役者たちの芝居は良かったが、劇団としてこれで本当にいいのか、と問いかける。それは新しい表現を模索するアニメーションのように、蘭子ができないようなことを雪次郎(山田裕貴)がやるべきだという坂場なりのメッセージだった。
「テレビを成功させるために力を注ぎたい、たとえお互いが好意を抱いていても、同志として仕事ができるだけでいい。」別れ際にお互いに好意を抱いている坂場との関係をそんな風に話すなつに、雪次郎は寂しさを感じつつ、「風車」を後にする。
赤い星座の公演「かもめ」が千秋楽を迎えた日、雪次郎は「二人だけでお祝いをしよう」と蘭子の家に招かれる。「蘭子にとって恋愛も仲間も自分の演技の肥やしにしかできない。」と、雪次郎との関係を心配するレミ子がなつと亜矢美(山口智子)に二人の事情を話していた頃、雪次郎は蘭子に自分の想いを伝えていた。
雪次郎が覚悟を決めて蘭子の元にやってきたことに気づいた蘭子は、「そう」とつぶやき手に持っていたワイングラスを置くと、厳しい目で雪次郎を見据えるのだった…。
第101話
「蘭子(鈴木杏樹)とこの劇団を盛り上げたい。絶対に蘭子を裏切らない。」熱く自身の思いを蘭子に訴える雪次郎(山田裕貴)の前で突然笑い出した蘭子は、「今回の舞台での雪次郎の演技は最低最悪だった、これ以上一緒に芝居をすることはない」と言い放つ。蘭子は雪次郎を家から追い出すが、雪次郎が去った部屋で蘭子は一人涙をこらえながら歌を口ずさんでいた。「♪愛の言葉は眠らせないでね 夢と..」
その夜雪次郎は「風車」へ向かい、レミ子(藤本沙紀)やなつ(広瀬すず)、亜矢美(山口智子)たちには詳しいことは何も話さず酒を飲み夜を明かす。
翌朝、「風車」のカウンターで目を覚ましたたなつと雪次郎。「はっきりと好きだと告白した。」雪次郎はなつに昨夜あったことを話し始める。劇団仲間から誘われ嬉しく思いその道を進みたいと思いながらも、蘭子と道を切り開いていきたいという自らの夢を諦めなかったこと、しかし、その思いを伝えながらも蘭子に怒られ、拒否されたこと。
その話を隣の部屋で聞いてた亜矢美は、蘭子の態度は「雪次郎に独り立ちしてもらうために、蘭子の精一杯の愛情だったのではないか」という。蘭子が雪次郎に厳しく当たったのは雪次郎の実力を認め、新たな道を進んで欲しいという蘭子の思いだったのではないか。なつは、”自分が芝居しかできないと感じている蘭子”は、雪次郎が自分と一緒にいることで雪次郎をダメにしてしまうと思い、雪次郎を叱ったのかもしれないと話す。
「何があってもお互い応援しあう仲間だよ。」「風車」を後にする雪次郎に言葉を掛けるなつだったが、雪次郎は突然、亜矢美は咲太郎(岡田将生)のことを好きなのではないか?となつに言い残し去って行く…。
「なつよ、君は正直に誰かに気持ちを伝える日が来るのか?」自分の思いを伝えることで道を切り開いた雪次郎だったが、それとは対照的ななつに、天から見守るなつの父はその身を案じていた。
第102話
1963年12月。テレビアニメ「百獣の王子サム」の放映が始まる。北海道でも放映され、照男(清原翔)の息子、地平(吉田隼)も楽しく番組を見ていたと富士子(松嶋菜々子)から連絡が来る。
新たな環境の中で様々に自分たちの色を出していた東洋動画テレビ班の面々。なつ(広瀬すず)とともに原画を描く猿渡竜男(新名基浩)らの活躍もあったが、問題はやはり坂場一久(中川大志)だった。
なつは作品の質を落とさないようこだわる坂場の考えを汲み取り、簡略化できるところはより簡略に、その分ほかのところにしっかりと時間と枚数をかけるなど、テレビ班ならではの妥協案を編み出し乗り越えていた。
その頃帯広のお菓子屋「雪月」に雪次郎(山田裕貴)が帰っていた。
雪次郎は、演劇を諦めたと雪之助(安田顕)、とよ(高畑淳子)、妙子(仙道敦子)たちに告げる。「逃げてきたわけではなく全てを捨てて来た、鍛え直してほしい。」そう話す雪次郎の覚悟を見て雪之助は雪次郎を受け入れる。
その足で天陽(吉沢亮)にも報告しに行った雪次郎。「なつに追いつけなかった」と悔やむ雪次郎に、人生は誰かとの競争じゃない「おかえり」と天陽は雪次郎を迎える。
クリスマスの夜の「風車」。蘭子(鈴木杏樹)から厳しく言われてからというもの、お菓子の道こそが自分が開拓すべき道だと気づき、雪次郎は北海道へ戻る決断をした、と蘭子は雪次郎の決意をなつから教えられていた。「風車」に貼られている公演「かもめ」のポスター。
「そこに残るのは思い出か愛か。」
1963年のクリスマス、なつは一人の同志の決断を見届け、さまざまに変わる状況であって、アニメーターとしてさらに前進し、開拓をし続けていた。