ドラマ【昭和元禄落語心中】最終(10)話ネタバレ。落語と人を愛し、深い業に苦しんだ菊比古。そして八雲が繋いだもの。

2018年10月から放送のドラマ【昭和元禄落語心中】。

主演は100作目の朝ドラ「なつぞら」への出演が話題の岡田将生。その役は落語の名人・八雲。

そんな主人公八雲に弟子入りするチンピラに竜星涼、八雲の養女に成海璃子がキャスティングされました。

ここでは、ドラマ【昭和元禄落語心中】のあらすじをネタバレでご紹介しています。

これまでのあらすじ|ドラマ【昭和元禄落語心中】

「八雲の名ともろとも、落語と心中しよう」

自らで八代目を数える名跡を自分の代で断つと決心しながらも、孤高の名人として知られていた八代目有楽亭八雲(菊比古)。ひょんなことから元チンピラの与太郎を弟子をとり、養女・小夏の父親で、かつて八雲と人気を二分した人気落語家で親友でもあった二代目助六(初太郎)とあるの女性との三人の過去を、夜通し小夏と与太郎に話して聞かせることにする八雲。

それは、幼くして足を怪我したことから生まれた家から親戚の落語家・有楽亭へ入門し、その同じ日に弟子入りした独り身の少年・助六との出会いから別れまでだった。

正反対の性格ながらも、落語によって絆を深め、落語界を盛り上げるために切磋琢磨し、若手のホープとして期待されていた菊比古と助六。しかし、素行の悪い助六は、些細なことから破門を言い渡され、これまでただ一つの目標であった「八雲を継ぐ」ことを断たれ生きる目的を失ってしまう。落語で生きていくことを決意した菊比古にフラれた芸者のみよ吉と一緒になり、子を身ごもったみよ吉とともに、四国へ行ったっきり落語界から姿を消した助六。

二人を連れ戻しに向かった菊比古だったが、旅館で開かれた落語会ののちに、みよ吉と助六は事故とも心中とも見える状況で命を失ってしまう。親をいっぺんになくし、その原因を菊比古のせいだと恨みながらも、菊比古の元で育てられることになった小夏。

菊比古は大事な人を全て無くし、先代から続く「八雲と助六」の因縁を消し去るべく、落語と心中することを決意したという・・・。

1987年。八雲が小夏と与太郎に過去の話をし、三つの約束をしてから十数年後。

与太郎は真打昇進が間近となり、助六を名乗りたいと八雲に願いでる。そこで与太郎は「自分の落語を見つけるために命をかけろ」と八雲に言われる。

小夏の妊娠を聞き、勢い余ってプロポーズをしたものの、彫りかけの背中の刺青が週刊誌にかき立てられるということも重なる。さらに与太郎は、小夏の宿した子の父親がかつて所属していた「吉切組」の組長だと萬月から教えられる。

自分の落語を見つけられないことに焦りを感じ、週刊誌のことで八雲に迷惑をかけたと思い謝りに向かった八雲のところで、与太郎はその過去すらも全て背負って生きろと言われる。これで覇気を取り戻した与太郎は勢いそのまま組長の元へ乗り込み、小夏の腹の子は自分の子だと啖呵を売り、組長からもいい噺家になったことを喜ばれる。

真打昇進披露興行一週間前に八雲から「芝浜」の稽古を受けた与太郎。気まずい雰囲気のままだった小夏が見守る前で与太郎改、三代目助六が披露興行でかけたのは「芝浜」だった。

興行の終わりに小夏は産気づき、そのまま病院に担ぎ込まれ無事男の子を出産。生まれたての赤子を前に小夏は与太郎と夫婦になりたいと言い、子供に「信之助」と名前をつける。こうして与太郎は小夏とともに八雲の家に舞い戻ることになる。

1995年。小夏は下座としてデビュー。萬月は落語家として復帰、与太郎はテレビでも引っ張りだこの人気者。信之助はすでに「寿限無」を覚えるほどの才能。

八雲は、かつて先代が抱えていた忘れることの恐怖に苛まれての震えが抑えられないようになっていた。小夏は25年前の夜の記憶をおぼろげに思い出すようになり、八雲が話したことに嘘があると感じ、真実を知りたいと思っていた。萬月からもたらされたのは、当時の落語会のフィルム映像が残されているという話。二つ返事で小夏は四国行きを決める。

そんな最中行われた与太郎と八雲の「親子会」。そこで「たちきり」をかけた八雲は、話の終わりに胸を押さえて倒れ病院の担ぎ込まれる。助六とみよ吉の亡霊が見えるようになっていた八雲は、かろうじて一命を取り留めるのだった。

最終(10)話ネタバレ|ドラマ【昭和元禄落語心中】

与太郎との「親子会」で倒れるも、辛うじて一命をとりとめた八雲。その退院の日、与太郎と小夏、萬月、松田の4人は、小夏の両親、助六とみよ吉が命を落とした日、四国の旅館でおこなわれた八代目(菊比古)と二代目助六の落語会のフィルムを鑑賞する。

八代目からは捨てろと言われていたそのフィルムを4人は食い入るように見始める。そこにはこれまで見たこともないように楽しそうに落語をする八代目の姿があった。続いて高座に上がったのは小夏の父・助六。八雲の名を継ぐものしか着られない替紋の付いた羽織を着て、菊比古から「助六扇子」を手渡された助六は、落語研究をしている萬月も初めて見るという「芝浜」を始める。その奇跡のような名演に感動する一同。与太郎は噺を始める直前に客席の方を見ていた助六の様子を見て、客席にみよ吉がいたはずだと確信を持つ。それは、真打昇進の時、与太郎が客席に小夏がいることに気づき「芝浜」をかけた状況と同じ。

小夏の父・助六はその「芝浜」を、当時別居していたみよ吉のためにやっていたと与太郎は確信を持っていた。そしてそのフィルムを見終えた小夏は、あの夜の記憶をはっきりと思い出したという。

その頃、小夏たちの迎えを待たずに一人退院していた八代目は、その足で「雨竹亭」に向かう。すでに取り壊しが決まり、廃墟のような壇上に上がった八代目は弱々しい声で「死神」をかける。自分の落語を見つけたきっかけでもある「死神」という演目。八代目は様々なことを思い出しながら最後までやり抜く。そこへ聞こえてきたのは助六の拍手。八代目はこれまで直接話すことのできなかった助六の亡霊と言葉を交わす。落語を道連れにしたいという八代目に、助六はお前の一番深い業は「情にほだされることだ」と指摘し、しっかりと落とし前をつけろといいながらロウソクの火を客席に投げるよう促す。言われた通りにロウソクを客席に投げた八代目が気づくと、助六の姿は死神に変わっていた。炎に包まれる雨竹亭。そこへ飛び込んできた与太郎と小夏は、壇上で倒れている八代目を助け出すのだった。

「まだ死ぬことはできない。伝えなきゃいけないことがある」家で手当てを受けた八代目を前に小夏は、自分が思い出したあの夜のことを話す。

あの夜、小夏が松田に連れられて3人がいる部屋に行く直前、包丁を持っていたみよ吉はもみ合いの末に誤って助六の腹を刺してしまっていた。その様子を見てすべてが母・みよ吉のせいだと考えた小夏は勢い余ってみよ吉とともに窓から外に飛び出してしまう。二人を捕まえた助六と共に小夏とみよ吉、助六の三人は、辛うじて助六をつかんでいた菊比古と松田に助けられる。しかし助六は、小夏を助けてほしいと懇願するみよ吉の願い通り、気を失っていた小夏を菊比古に託し、みよ吉とともに深い谷底へと消えていったのだった。

小夏はこれまでずっと自分が母・みよ吉から憎まれ嫌われていたと思っていたが、信之助が生まれるとき、小夏もまた「自分の子だけは助けてほしい」と叫び、小夏自身が信之助を想う同じ気持ちを、みよ吉も自分に対して持っていたことに気づく。そのことを気付かせるような言葉をかけた松田に、八代目はこれまで苦労をかけたことに対して労りの言葉をかけるのだった。

その後、信之助の小学校に招かれ子供たちに落語を見せることになった与太郎と小夏。小夏の奏でる出囃子とともに体育館のステージに出ていった与太郎は「寿限無」の名前を子供達みんなにいわせる。楽しそうにする子供たちを見て与太郎は一度ステージ脇に戻り、小夏に落語をやれという。突然の提案に驚きながらも、「助六扇子」を手渡され決意を決めステージに上がった小夏。「寿限無」をやり抜き、拍手喝采のうちに与太郎の元へ戻った小夏は感極まって与太郎の胸に抱きつく。「どうしよう、人前で落語やっちゃったよ!」落語は楽しかったろう!という与太郎に小夏は、自分が妊娠していることを伝え与太郎は泣いて喜ぶのだった。

自宅療養する八代目。ぼさぼさの髪を梳かしてあげる小夏に八代目は、みよ吉から女性のことを、助六から落語を教わったという。二人が自分の味気ない人生に色を与えてくれたと話す八代目に、小夏は悲しい目で問いかける。「私がいなけりゃ、そんなに苦しまなかった?」お前のおかげで苦しんでる暇なんかなかったという八代目に抱きついた小夏は今まで育ててくれたことに感謝を伝える。

与太郎がラジオでかけるどこまでもバカバカしい「野ざらし」。唄とともに桜の花びらを撒き散らす信之助に八代目は綺麗だからもっと派手にやってくれと言葉をかける。その様子を見た小夏は八代目の膝に寄りかかりながら弟子入りさせてほしいと頼み込む。「そんな格好で言う奴があるかい」ハイと答えながら小夏の弟子入りを認める八代目は、そのまま帰らぬ人となる。

「ようこそ冥土へ」雨竹亭の壇上で気づいた八代目に助六は言葉をかける。お前さんは落語が好きで人を愛した。そのおかげで自分も成仏できる、と助六は八代目に感謝し手を差し出す。しかし、八代目は涙を浮かべながらも二人が初めて出会った時のようにその手をはたくのだった。そんな二人の元へ笑顔を浮かべたみよ吉も現れて言う。「菊さん。あんたも死んじゃったのねぇ。ご愁傷様」

16年後。九代目八雲襲名披露の日。成人した信之助もまた時を同じくして二つ目に昇進し、二代目菊比古を襲名する。高校生になった与太郎と小夏の娘・小雪は下座に興味がある様子で、そのころ小夏は落語家に転身し女性真打となり活躍していた。「信ちゃんの本当の父親は誰なのか?」そんな小夏は舞台裏でともにタバコをくゆらせながら話していたお栄に聞かれ微笑みながら答える「どうなんでしょうね。」

落語はたった一人の意思で滅びるほどに危ういもの。八代目は落語と心中すると言いながらも、落語をしっかりと繋いでくれた。こんないいものがなくなるわけがない。そういって客から拍手喝采を受ける与太郎は、客席に八代目と助六、みよ吉の姿を捉える。こうして与太郎が九代目襲名祝いの日にかけたのは「死神」だった。

「披露目の日にそれかい」ってんで、お叱りを受けるかもしれませんが、この噺に出会わなかったら、オイラは今ここに居ないんでねぇ。

え〜、困ったときの神頼みなんてぇことを申しますが、あんまりおつき合いしたくない神様ってぇのがあるもんで。
「は〜、やだやだ弱っちまったなぁどうも。仕事はねぇし、銭はねぇし、借金まみれでもって。にっちもさっちもいかねぇや。や〜、また嬶がやいのやいの うるせぇっからなぁ。いっそのこと死んじまおうかな。それがいい死のう。・・・死のうったってなぁ。俺初めて死ぬんだからなぁ。死にようがわからねぇけど、どうやったら死ねんだろうなぁ。」「教えてやろうか」「なんだオメェは」「死神だよ」

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