ドラマ【anone(あのね)】第8話ネタバレ感想。広瀬すずを「天才」という清水尋也の言葉。第1話からあらすじ振り返り。

2018年1月から放送のドラマ【anone(あのね)】

坂元裕二脚本作品の持つ、現実に近い感覚がじっくりと観るものに入り込んでくる、親しみや温もりの感じられるドラマです。

偽札騒動から偶然同居することになったハリカたち。

いよいよ偽一万円札が完成する中、男女の「恋」が動き出す第8話でした。

ここでは、ドラマ【anone(あのね)】の第1〜8話のあらすじと、これまでの感想をネタバレで紹介しています。

ドラマ【anone(あのね)】第1〜8話ネタバレあらすじ

「偽札製造がバレてもいい。」

それぞれが、人生の全てを捨ててもいいと思えるほどの覚悟を持ち、林田印刷所の元従業員・中世古理市(瑛太)が目指す「完璧な偽札」の製造に携わることになった辻沢ハリカ(広瀬すず)、林田亜乃音(田中裕子)、持本舵(阿部サダヲ)、青羽るい子(小林聡美)。

より簡単な偽千円札の製造に成功し、いよいよ本格的に偽一万円札を作り始める五人だったが、舵以外は理市へ心を許すことはなく作業は続いていた。

ある日、不倫と知りながらも理市と交際している青島玲(江口のりこ)が、息子の陽人(守永伊吹)を連れて印刷所を訪れる。当初ともに夕食をしようとしていた玲だったが、理市との交際を許してくれない亜乃音に絶望し、自らの願望を否定され気を落として帰っていってしまう。そのことに気づけず「自分はダメな母親だ」と気落ちする亜乃音を励ますハリカ。

そんなハリカは、紙野彦星(清水尋也)に好意を寄せる同級生の香澄茉歩(藤井武美)に呼び出され、自分には彦星との接点がほとんどないことに動揺する。その後、茉歩の父親から重粒子線治療の代金を立て替えてもらうことに反発する彦星から電話があり、初めて話をする二人はひどく緊張する。

そこで彦星は自分にとってハリカが「茉歩のような友達ではない関係」であることを伝え、ハリカも彦星と同じ思いだと告白するのだった。

偽一万円札が完成し、五人はそれぞれにテストのために夜の街に出ていく。舵とるい子はともに失敗に終わり、理市は試していた偽札がエラーを出し、銀行ATMの中に入ったまま印刷所へ逃げ戻ることに。

その頃、花房万平(火野正平)から改めて告白を受けた亜乃音が、万平とともに印刷所に戻ると、印刷機の音を聞いた万平は理市が偽札を印刷しているところを目撃してしまい、万平は亜乃音と一緒に自首しようと言い出す。

舵と理市が喚き立てる万平を抑えていたところに、偽一万円札が両替機に認識されたハリカが帰ってきてその様子を目撃するのだった・・・。

ドラマ【anone(あのね)】第8話の感想。足並み揃った行き場のない四人。「マジか」に込められた想い。

第7話にしてようやく同じ目標に向けて動き始めた五人。

理市への不信感を残しつつ作業する女性陣に対して、舵は仲良くやろうとします。

これまで劇中で、度々映し出された「足元のシーン」がありました。

第1話では偽札を車で追いかけているときに、片方の靴が脱げた舵やるい子たちの「足元」が映し出され、亜乃音がるい子とともに、ハリカの身代金1千万円を渡しに行く直前には、タバコを足でもみ消すシーンがありました。

そして、第8話では、靴の揃った玄関のインサート映像が映し出されました。

そのシーンは理市を含めた五人がようやく偽一万円札の製造に成功した直後のタイミングで、その後偽札を「テスト」する前のシーンでした。

それまでは、バラバラの思いを抱いていた四人の思いや気持ちが綺麗に揃ったということを暗示するかのような思いが込められているようにも感じ、とても印象的な映像でした。

そのほかにも、第7話で「深い悲しみを怒りという形にしている」と亜乃音が説明していた、江口のりこ演じる青島玲の気持ち。これまでに本人の口から直接表現されることはありませんでしたが、第8話ではその深い悲しみが改めて本人の口を通して表現され、非常に感動的なシーンでした。


亜乃音「コーヒーだけ。」
玲「いい。」
亜乃音「そう?この部屋も随分変わったでしょ?(鏡を見る玲に)あれは・・・、そうだね、あそこにあったね。学校行く前にね。あなたそこに立って、髪の毛、変だから学校行きたくないって。」
玲「彼に何言ったの?中世古さんに何か言ったでしょ?」
亜乃音「『あなた奥さんいるでしょ?そう言うの、よくないんじゃないの?』って。」
玲「やっぱりね・・・。あなたに関係ないことでしょ?」
亜乃音「だって、つい・・・。」
玲「勘違いしないで。まだ別に私たちそう言う風な関係になってたわけじゃないから。」
亜乃音「そうなの?」
玲「うれしそうな顔して。違うから。違うから。側にいてって、結婚したいって頼んでるのは私の方だから。」
亜乃音「バカ。そんなことしても幸せに・・・。」
玲「幸せとかじゃないの、支えがいるの。私も、陽人も。陽人は彼のこと大好きだし、彼も陽人のことわかってくれるし。この人が、パパになってくれたら最高だなって。」
(ハリカが二人の会話を聞き始める。)
亜乃音「違う。彼はあなたが思っているような人じゃないよ。陽人くんのパパになってならない。」
玲「へぇ〜。」
亜乃音「彼はそう言う人じゃ・・・。」
玲「だから私の勝手な、バカな願望だって。願望を、いちいち否定しないでよ。旦那に見捨てられて将来不安で、私と陽人がどれだけ我慢してきたか知らないでしょ?彼に出会えてどれだけホッとしたか知らないでしょ?彼に救われたんだよ?やっぱりあなたは自分の気持ちばっかり。私のことなんて何も考えてくれてない。」
ハリカ「違います。亜乃音さんは違います。亜乃音さんは自分のことじゃなくて陽人くんと玲さんのために言ってて。亜乃音さんはあの人から・・・。」
亜乃音「ハリカちゃん」
玲「あのね。間違ってるのはわかってるんだよ。許されないことしてるのわかってるよ。でももしかしたら・・・。(亜乃音の肩を掴んで)・・・だけは認めてくれるかなって、ちょっと思っちゃってたの。『好きになったなら仕方ないね。応援するからけじめだけはしっかりしなさいね。』とかウソでもそう言うこと言ってくれるかなって思っちゃって。そしたらまた昔みたいに話せるようになるかな?あの頃に戻れるかなって。そした らそれはそれで、私の支えになるかなって!勘違いしてた。やっぱりあなたはお母さんじゃなかった。あ〜あ!なんできちゃったんだろ。」
亜乃音「(涙を浮かべ)ダメなお母さんだね。」
ハリカ「ううん。亜乃音さん、いますごくお母さんだったよ。優しいお母さんだったよ。」


人間は思いやるということができる生き物ではあるけれども、それにも限界というものがあるものです。玲の生きてきた辛さはある程度はわかるけれども、本当にその人が感じているようには「その人のこと」はわからないもの。

それでも、わずかな希望を亜乃音に求めてしまう玲。それが悲しみからだったとしても、わかって欲しいと思ってしまうというのが玲というキャラクター。それを演じる江口のりこの演技は深い説得力がありました。

そほのかにも第8話には「マジか」と言う一言が印象的だったように思います。おしゃれなカフェに呼び出されて借りてきた猫のようになっていたハリカに香澄が放った「マジで?」という言葉。

ハリカと彦星が付き合っていることを心配していた香澄の緊張が溶けて「素」が出た瞬間をうまく表現するセリフでり、同じくハリカとの初めての電話で彦星の緊張が解けた瞬間に出たセリフだったのが「マジか」というセリフでした。


彦星「えっと・・・。あ・・・やばい。はぁ〜どうしよう・・・。緊張する。」
ハリカ「うん、やばいね」
彦星「う〜ん・・・。ちょっと、深呼吸しよっか。」
ハリカ「うん・・・・。ふぅ〜・・・。」
彦星「ふぅ〜・・・。」
ハリカ「あ・・。」
彦星「どう?」
ハリカ「あ〜・・。あまり変わんない。」
彦星「変わんないね。ハリカちゃんってさ・・・、そう言う声だったっけ?」
ハリカ「うん・・・。彦星くん、そう言う声だったっけ?」
彦星「うん。あ・・・、今、家?」
ハリカ「いや、外。」
彦星「大丈夫?またかけようか?」
ハリカ「あぁ、ぜ・・・、だ・・・、大丈夫。」
彦星「いや、あのさ・・・。謝りたくて。謝りたくってって言うか・・・。」
ハリカ「ん?」
彦星「せ・・・、説明したくて。」
ハリカ「ん?」
彦星「誤解されるの嫌だから。」
ハリカ「うん・・・。」
彦星「君がね、会った人は、友達です。」
ハリカ「うん。」
彦星「友達なんだ。」
ハリカ「うん。」
彦星「そう言うことじゃないから誤解しないで。」
ハリカ「えっ、誤解?」
彦星「僕がこう言うふうに思ってるのは・・・、ハリカちゃんだけだから。」
ハリカ「・・・。」
彦星「こう言うふうっていうのは・・・、説明しずらいんだけど、意味 わかるかな?」
ハリカ「いや・・・。わかるって言うか・・・、いや、わかんないけど。」
彦星「わかんないかな・・・。」
ハリカ「私、あの、彦星くんに会ったことないし、今日、いや・・・、今、初めて声も聞いたから。」
彦星「そうだよね。」
ハリカ「だから、わかんないけど・・・、あの・・・、返事してもいいかな。」
彦星「返事?」
ハリカ「うん。えっと、私も、私もです。あの、私も・・・。彦星くんと同じふうに思ってる。多分、同じ。」
彦星「(嬉しくて泣きそうになるのを抑えて)マジか。」
ハリカ「うん。」
彦星「電話して良かった。」
ハリカ「電話・・・、くれて良かった。」
彦星「また、電話していい?」
ハリカ「うん。」


ハリカと彦星が初めて電話で話すシーンは、セリフだけ見るとほとんど「うん」とか「ん?」とか「えっ?」ばかりで、演じるのは本当に難しいのではないかと思うシーンでした。

しかも、彦星に関しては病院の窓の外からの映像のみ。細かな部分は広瀬すずの表情のみで、二人の感情を描くという水田監督の演出にも感動しました。

戸惑いと嬉しさと、思いが伝わったと言う安心感。

それらが、あのシーンに凝縮されていて、見れば見るほど、感動的でありながらも、不思議なシーンだと思います。簡単に言えば「告ってOKもらった」だけのシーンが、これほどまでに印象的に描かれ、しかも、かたや偽札作ってるという複雑さ。

そして、その直後、ハリカの試した偽一万円札が成功した時、手前の競馬も最終コーナーを回っていたと言う演出にも「もしや」と感じたかたもいたのではないでしょうか。

いよいよこのドラマ自体もゴールという結末に向けて動き出したよ。競走馬たちが最終コーナーを回っているのと、ハリカが走り出すシーンを見てそう思いました。

最後に彦星役の清水尋也が広瀬すずの演技について分析しているインタビューをお伝えして終わります。

「僕自身もそうなのですが」と前置きしつつ、

「誰でもきっと、お芝居を始めたころは演じる上で足りない部分が絶対にあるはずなんです。でも広瀬さんは、そこからプラスに転じるスピードがあまりに速い。

監督が何を求めているか? この作品で自分がどう見えるべきか? 自分に求められるものを理解した上で、それをどんぴしゃに提供する。インプットからアウトプットまでの時間が短く、本当に天才だと思います」

と手放しの賛辞を送る。言い換えればそれは「シンプルに、芝居がうますぎるんです」と続け、

「先日も兄とドラマのオンエアを観ながら『21世紀で一番の女優だね』と話していました」

と言うから、演者としてのリスペクトは半端な気持ちではないようだ。[出典]

こういうのを「感がいい」というのでしょうか。

このようなことは、演技を作品として見ているだけでは伝わりずらいものですが、演者の人たちがどのような思いで、その演技を選択したのかという視点を持つことも、ドラマや映画を楽しむことにつながると思います。

そういった意味で、このようなインタビューは非常に面白いものだとおもます。

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