第1次世界大戦で操られた親族の王たち【ネタバレ】映画 キングスマン ファーストエージェント(2021)

コロナパンデミック、3年目となる2021年に公開された映画「キングスマン:ザファーストエージェント」

エリザベス女王など、現在のイギリス王室に繋がる血筋であるマシュー・ヴォーン監督による作品で、「キングスマンシリーズ」の三作目。

イギリス王室の親戚が作る映画で、その内容も、王室に近い人脈ならではの興味深い物語です。この記事では、今作の登場人物や地名、世界観などを書き残しています。

一般的にフィクションは「架空の物語」と認識されていますが、イルミナティが作る映像作品の多くが、彼らが計画していることの発表の場であったり、私たちが学校で教えられる嘘の情報ではなく、実際の歴史だったりします。

このような視点で今作を見ると、より面白くなるのではないでしょうか。

*この記事では主人公「オーランド・オックスフォード公」を全て「アーサー」として言及します。

知らなかった事実

ロシア、ドイツ、イギリスの「王」は、ヴィクトリア女王の孫たち

義務教育で、まともに勉強をしなかった人間としては、この映画で驚いた事実が、第一次世界大戦当時の1910年代のイギリス、ドイツ、ロシアの王様が、従兄弟同士だったということでした。

幼少期に共にヴィクトリア女王から厳しいしつけにあった3人が、第一次世界大戦期に、戦争の行方を左右する王の立場になったのでした。

ヴィクトリア女王といえば、2022年に死去が発表されたエリザベス女王の高祖母(4世代前)の人物で、この時代の特徴は、現代のテクノロジー社会の基盤となる生活様式が広まった時期でした。

この「ヴィクトリア朝」の中でも、現代に大きな影響を与えたものといえば「産業革命」です。

史実では、イギリスの当時の王様「ジョージ5世」のいとこで、ロシア王のニコライ2世はロマノフ家と言われています。

このニコライ2世が300年続いたロマノフ家最後の人物で、1917年の2月革命以降にロマノフ家は一般市民になったとされています。映画でもこのシーンが描かれ、ニコライ2世を王座から引き摺り落とし勝ち誇っているレーニンの姿が印象的でした。

さらに、2022年現在まで続くイギリスの王室はすべて、「征服王ウィリアム一世」の子孫で、この王室に従い、婚姻関係をむすび貴族となったのが、今作の主人公のオックスフォード家などの貴族です(ジョージ5世のゴータ家Gothaの男系は2022年に断絶)。

これが何を意味するのかというと、彼らがブリテン島に「侵略」しに来た際に、以前からブリテン島にいた先住民たちは、彼ら「現イギリス王室に従う貴族」のことを嫌っているということなのです。

主人公アーサーが息子のコンラッドを初めて「キングスマン」に連れて行った時に、アーサーは、そんな一族の出自の話を、初めて息子にするのでした。

そんな「オックスフォード家」を嫌っているのが、今作の黒幕のモートンなどのスコットランド系という設定です。これは史実も同じで、例えば以下のようなサイトでも、そのように伝えられています。
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ここに「対立・分断」の火種があるということです。

ヒトラーは史実でも、第一次世界大戦ののちに力をつけていく

映画では、敵役である「闇の狂団」のリーダーだった「モートン」が倒された後、ドイツ王の側近「エリック・ヤン・ハヌッセン」が新たなリーダーになりました。

その時ロシアでは「闇の狂団」メンバーの「ウラジーミル・レーニン」が権力を強めていました。

そしてレーニンに対抗する反対勢力として新たにメンバーになったのが、アドルフ・ヒトラーだったという結末でこの映画は終わっています。

これは第一次大戦の後の出来事ですが、史実でも、ヒトラーは第一次大戦の後に力を強めています。

1919年(30歳):革命中のバイエルンでレーテに参加し、大隊の評議員となる。革命政権崩壊後、ミュンヘンを占領した政府軍に軍属諜報員として雇用され、ドイツ労働者党への潜入調査を担当する。
1920年(31歳):ドイツ労働者党の活動に傾倒し、軍を除隊。党は国家社会主義ドイツ労働者党に改名される。
1921年(32歳):党内抗争で初代党首アントン・ドレクスラーを失脚させ、第一議長に就任する。Führer(フューラー)の呼称がこの頃から始まる。

アドルフ・ヒトラー – Wikipedia

つまり、フィクションであるとされる映画ですが、ほぼほぼ事実を描いているわけです。

これが事実だとすると、レーニンもヒトラーも同じ秘密組織のメンバーだということであり、彼らは口裏を合わせて分断統治をしていたということになってしまいます。

無益な政治的対立が絶えないのは、そのような分裂した状態の方がイルミナティにとっては「双方をコントロールしやすい」というわけです。

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RAPT | イルミナティに関する幾つかの考察。

ロケーション・地名

キングスマン(仕立て屋)

アーサーも父に連れてこられた”世界一”と言われるテーラー・仕立て屋。ウェストミンスター サヴィルロー11番地。カシミヤブック第一巻に「カマリロヤギの唯一の生息地」として、「闇の狂団」のアジトのある、スイスの切り立った岩山が掲載されている。第一次大戦後にオックスフォード家のオーランドが店を買取り、2階の型紙部屋を会議室にする。外観のロケ地は実際にサヴィルロー11番地に実在する仕立て屋(ビスポークテイラー)の外観をそのまま使っている。店の名前は「ハンツマン(Huntsman & Sons.)」。(この店の顧客リストにはエドワード8世やデューク・オブ・ケント、ウィンストン・チャーチル(チャーチル家)、ジョージ・バンダービルト2世、ロスチャイルド家などの貴族からローレンス・オリビエやクラーク・ゲーブル、デビッド・ボウイ、アデル・アステア、ココ・シャネル、ビング・クロスビー、マレーネ・デートリッヒ、ベニー・グッドマン、キャサリーン・ヘップバーン、長尾智明(NIGO、A BATHING APEの創業者)、イギリスのロックバンド「ザ・クークス (The Kooks)」のフロントマンのルーク・プリチャード、1930年代の連邦劇場計画(Federal Theatre Project)でギルバートとサリバンのオペレッタなどを上映したドイリー・カルテ(Rupert D’Oyley Carte)、ブライアン・エプスタインなどの有名人。今シリーズ作の登場人物のハリー・ハートを演じるコリン・ファースとマーリン役のマーク・ストロング、監督のマシュー・ヴォーン(Matthew Vaughn)も「ハンツマン」の顧客)

そのほかのロケーション

南アフリカ|1902年、キッチナー将軍が指揮を取るボーア人の収容所がある場所。アーサーが赤十字軍だと言って訪れる。目的は医療品を届けること。その後ボーア人の襲撃に遭い、アーサーの妻が命を落とし、アーサーも左腿を負傷する。
スイス|闇の狂団のアジトの場所であり、カメリロヤギの唯一の生息地として、キングスマンが所有する「カシミヤブック第一巻」に掲載されている切り立った岩山がある場所。アジトの岩山の麓には「チーズ小屋」がある。「カメリロヤギ」は「マーコール」がモデルとなっている様子(マーコールは、ウシ科ヤギ属に分類される偶蹄類。ペルシャ語で マール mâr ホル khor という意味を持つ。「野生のヤギの王様」という意味を持つともあるが、間違いである。マーコール – Wikipedia
ホワイトホール(道路の名前)|日本の「霞ヶ関」と同じく、イギリス政府の中枢を意味する言葉。通りの名前であり、かつて存在した宮殿の名前。国防省、イギリス陸軍本部、王立騎兵隊司令部、イギリス海軍本部などがあり、北端にトラファルガー広場。かつてはスコットランドヤード(ロンドン警視庁)がホワイトホールの北東にあり、その名前の由来になっている(名称はグレート・スコットランド・ヤード)。キッチナーは、「仕立て屋の二階の方がホワイトホールより内密な話をすることができる」と話す。

年表とあらすじ

1914年|コンラッドのいとこ、ロシアのフェリックスからの招待を断り、フェルディナント大公からの狩猟の誘いも断るアーサー。6月のサラエボ事件で警備をしていたのがオックスフォード家。
1916年|ラスプーチンがニコライ2世に「ロシアが参戦しない」ようにさせた後、モートンによってキッチナー将軍が乗っていた船もろとも爆撃し、キッチナー将軍は殺される。ロシアが参戦しないことはドイツの勝利=イギリスの敗戦を意味した。アーサーはキッチナーからの手紙を読み、息子に「書斎の奥=使用人の情報網のみだった頃のキングスマン・エージェンシー」の存在を知らせる。ラスプーチンを殺すことは、イギリスを守ることに繋がるという状況だった。その後、オックスフォード家の使用人ポリーが作る「毒入りベイクウェルタルト作戦」により、ラスプーチンを殺害することに成功する。
1917年|ドイツがメキシコに送った「暗号(ツィンメルマン電報)」をポリーが解読。その手書き文書をコンラッドと伝令兵が命を落としながらもイギリス軍へ受け渡す。ウィルソン大統領がマタハリのハニートラップにかかっていることを突き止め、その黒幕が「希少なカシミヤウール」のヤギを飼育する「闇の狂団」であることが判明。イギリス側がウィルソン大統領が不利になる「ハニートラップの証拠」をもみ消したことで、ウィルソン大統領のアメリカがドイツに宣戦布告=イギリスの勝利が確実になる。
1918年|第一次世界大戦終結。「闇の狂団」にヒトラーが加入し、レーニンに紹介される。

世界観・設定

オックスフォード家

かつては盗み、殺人、騙しなどの悪事によって貴族にのし上がった一族。乱暴で冷酷だったからこそのし上がれた。かつては「ジェントルマン=やわな男」と呼ばれるのは「死ぬこと」を意味した。オックスフォード一家が住むお城の、アーサーの書斎の棚にある像を回転させると書架の一つが扉のように開く。その先は洞窟のような状態で少し下ったところに秘密の部屋がある。これが仕立て屋を本部とする「キングスマン・エージェンシー」設立前の民間の諜報機関の活動拠点。1916年時点でポリー、ショーラ、コンラッドがその存在を知っている。モートンからは「平和を愛するイングランドのバラ」と比喩される(イングランドの花の紋様にも「アーサー王伝説」を「信じていた一族」が深く関わっている。テューダー・ローズ – Wikipedia

キングスマン・エージェンシー

「政治だけでは戦争を止めることはできない」と考えたアーサーらの発案で設立。当初は、オックスフォード家の使用人のポリーとショーラが、世界中の「使用人」のネットワークを築き、情報網を構築していた。手紙、伝書鳩、写真技術などが情報伝達に使用される。ドイツが打電した暗号を読み解いた際は、暗号解読をする英国海軍情報本部に勤める使用人が、ティーポットの裏にあるカメラで資料を撮影した。それはドイツ外務大臣がメキシコの大使に送ったもの(発案は闇の狂団メンバーの「エリック・ヤン・ハヌッセン」)で、メキシコに同盟を求めアメリカを攻撃して、アメリカが参戦しないようにする目論みのある文章(「ツィンメルマン電報」のこと)だった。これをウィルソン大統領に見せれば戦争が終わるとアーサーたちは考えた。しかしウィルソンは「怪しい文章だ」として取り合わなかったため、戦争はしないと発表してしまう。第一次世界大戦後に正式に民間の諜報機関として設立され仕立て屋「キングスマン」の2階の型紙部屋が会議室になる。(この組織の資金は、第一次大戦の後に行き場を失った「相続資産・遺産」が使われていることが、2014年の映画「キングスマン」で描かれる)。

闇の狂団(原語:The Shepherd’s Flock 直訳で羊飼いの群れ) 

リーダーとなる人物を「羊飼い・シェパード」と呼んでいる。ラスプーチンはモートンのためのファベルジェの卵を作る。「信頼とは他者の正直さを信じること」。モートンらは人々が「他者の正直さを信じること」を「武器」にして征服を目論む。メンバーにはモートンから信者の証として指輪が与えられる。この指輪の中には青酸カリが入っている。狂団のアジトは木製のリフトで、断崖絶壁の岩を数百メートル上がらなければならず、これが唯一、空以外からアジトへ行く方法。このアジトの周りでカマリロ・ヤギを飼育し、この山羊からとれるカシミヤを売りさばいている。モートンらはこのヤギを「アンガス」と呼んでいるが、「カシミヤブック第一巻」では「アルペンヤギ Alpine Goat」という種類の山羊と記載されている。メンバーにはアジア系の人物もいることが映画では描かれている。

西部戦線司令部(イギリス軍) 

コンラッドが入隊後に生活していた場所。グレナディアガーズ連隊、ブラックウォッチ連隊など駐屯地。中尉だったコンラッドはロンドンに送られる(前線では戦えない)ことが決まるが、父の元へ帰りたくないコンラッドは、アーチー・リード下級伍長と「成り変わり」、アーチーをメッセンジャーとしてロンドンの父アーサーの元へ送る。

登場人物

初代キングズマンメンバー

オーランド・オックスフォード公 / アーサー

イギリス軍で植民地を征服していた際に殺しに嫌気がさし、人々を救うことを目指すようになった英国貴族。このことから世間的には「戦争を好まない男」というイメージがあり、秘密組織を作り裏で戦争をしていることは誰もわからないようになっている。息子の死を乗り越え、第一次世界大戦から祖国を守るために、一家の使用人と共に諜報機関を立ち上げる。イギリスを窮地に陥れようとする「闇の狂団」の壊滅へむけて動き出す。戦後は、一家が代々通う仕立て屋「キングスマン」にどの政府にも属さない諜報機関を設立し、初代リーダー「アーサー」となる。ヴィクトリア十字勲章を受けた。ボーア戦争の際に南アフリカで左足を負傷し、これ以降杖が必要になるが、ラスプーチンに会った際に治癒してもらう。

アーチー・リード / ランスロット

ブラックウォッチ連隊の下級伍長だった際にコンラッドと「入れ替わり」をして、アーサーの元へコンラッドの戦死を伝えにいった軍人。コンラッドの死を伝えたときに、「自分はランスロットでアーサー王にあいたい」と説明してアーサーに会う。

元アメリカ合衆国大使 / ベディヴィア

在英アメリカ大使。アーサーがマタ・ハリを捕まえる際に近くにおり、その後、ウィルソン大統領がマタのハニートラップにかかり、脅されていたことをアーサーに伝える。史実でベディヴィアにあたる人物は、当時のアメリカ大使であるジョン・W・デイビス(のちにクーリッジに敗れた大統領候補だった人物)、または、ツィンメルマン電報の経緯を参考に考えるとウォルター・ペイジ。

ジョージ5世 / パージヴァル

英国王。祖母はヴィクトリア女王。一家の名前「ゴータ家」を英国風の「ウィンザー家」に変更した王。これは、ロシアでニコライ二世が退位し戦争からの撤退が決定し、ドイツが貿易の邪魔をしてイギリスへの食糧供給が途絶え、敗戦濃厚のイギリスで革命が起きる可能性が高かったための対処だった。

ポリー・ワトキンズ / ガラハッド

オックスフォード家の使用人。世界中の使用人のネットワーク構築を主導した女性。コンラッドの教育係だったが、主人で雇い主であるアーサーの”教育係”として、必要な助言を物おじせずに言う。高度な銃の技術をもち、ラスプーチンの頭部を貫いた。妻を亡くしているアーサーへ愛の感情を持っている。

ショーラ / マーリン

オックスフォード家の使用人。黒人男性。キングスマンエージェンシーで物資の調達係。ポリーとともに、世界中の使用人のネットワークを構築する。戦闘にも長ける。

闇の狂団

モートン/羊飼い

キッチナー将軍の側近で副官。祖国はスコットランドで、両親たちの工場はビクトリア朝の一族に乗っ取られた。700年抑圧されてきたとしてジョージ王の一族を憎んでいる。ドイツをけしかけてイギリスを征服しようと目論む。ロシアが戦争に参加しないようにラスプーチンを送り込んで工作した。ドイツによるイギリスへの戦争の追い討ちをかけるためラスプーチンを指名する。第一次世界大戦を仕掛けたのはモートンで、当初は10年かかると見込んでいたが、2年足らずで泥沼化し、各国の王たちは仲違いし、ヨーロッパの資源は枯渇。この戦争で無意味に何百万人という人々が殺され、人間同士の信頼関係を破壊した。フェンシングで決着をつけようとする際に「Manners Maketh Man 礼節が人を作る」と言及する(これが今作シリーズのキャッチコピーとして度々利用される)。デュポンとマタ・ハリが失敗した際には、次の大統領にはモートンら「闇の狂団」の息のかかった大統領を選ぶようにデュポンに指示している。実際にキッチナー将軍を暗殺し、モートンのモデルと思われる人物にフリッツ・デュケインがいる。

グリゴリー・ラスプーチン

指輪のシンボルは「亀」。ニコライ2世(ロシア皇帝)の側近。ニコライ2世の息子に毒・アヘンを盛り「息子が病気になったのは戦争をしているからだ」と説得し、ロシアがイギリスとドイツの戦争に参加しないように仕向ける。この際に宗教も利用した。甘いデザートと若いイケメン男子を好む。毎朝の食事で毒を少しづつ摂取しているので、青酸カリへの耐性がある。ポリーの作った青酸カリ入りベイクウェルタルトを食べ、嘔吐した。アーサーの足を治すという描写では、血流を良くする必要があること、そのためにも自分自身がエネルギーを必要だとしてタルトを食べる。さらに患部を舐め、アーサーは耐え難い表情を浮かべながらも、その後立ち上がった際に「足が良くなった」ことを実感する。アーサー親子やショーラとの戦いの末に、女性使用人ポリーの銃弾で頭の眉間のど真ん中を撃ち抜かれて死去。

エリック・ヤン・ハヌッセン/羊飼い

モートンを継いで組織のトップ「羊飼い」になる。その際に新たに組織のメンバーに入れたのがヒトラー。指輪のシンボルは「犬」。ヴィルヘルム2世(ドイツ皇帝・通称カイザー)の側近。カイザーに戦争するようにけしかける。(歴史上の実在した人物の本名はヘルマン・シュタインシュナイダー(Hermann Steinschneider)で、チェコ系ユダヤ人だったと伝えられる人物。マジシャンとして人気を博し、アドルフ・ヒトラーの側近で、ヒトラーに演説を教えた人物と言われている。ドイツ国会議事堂放火事件を予言し的中させている。アメリカの戦略諜報局に所属する精神分析医ウォルター・ランガーの報告では、1920年代にはヒトラーはハヌッセンから演説や心理学のことを学び、集会演説などでの人心掌握の術を教えられたとされている。)

マタ・ハリ

第一次大戦参戦しようとするウィルソン大統領にハニートラップを仕掛ける女性。イギリスのアメリカ大使館にいたところをアーサーに捕まる。

ガヴリロ・プリンツィプ

指輪のシンボルは「クマ」。サラエボ事件でフランツ・フェルディナンド大公を暗殺した人物。手投げ爆弾が失敗し、直後に、銃で射殺することに成功。この事件によりドイツが戦争を始める「口実」を与えることになった。民族主義者。

ウラジーミル・レーニン

ラスプーチンの死を受けて、モートンからロシアの戦争をやめさせるために革命を始めるよう指示される。革命が成功した場合、自分が「左」になるので、「右」となる力が必要だ(それを用意するように)とモートンに説明する。

アドルフ・ヒトラー

「左」のレーニンに対立する「右」として闇の狂団に加わる。ロシア皇帝を退位したニコライ二世とその家族を射殺した人物として描かれる。劇中でのあヒトラーは退位したニコライ二世とその家族が記念写真を撮った際のカメラマンになりすまし、一家を射殺している。

そのほかの登場人物

コンラッド・オックスフォード|1914年当時は近衛歩兵連隊(グレナディアガーズ)を希望。希望通りグレナディア連隊に所属したが、父親から帰国するように手を回される。戦いを望むコンラッドが、ブラックウォッチ連隊の下級伍長のアーチー・リードと成り替わり、長年の希望だったドイツとの前線に赴く。着任した直後にドイツ軍の機密情報を持ち帰る味方の救出のため、夜間に6人の味方兵と共に敵軍に近づくが、ドイツ軍と遭遇し銃を使わない戦闘状態になり、かろうじて生き延びる。そこで偶然遭遇した機密情報を持つ味方と共に、翌朝になって味方陣地へ帰還する。しかし、帰還して直後にアーチーの友人でアーチーの顔を知る味方兵に「ドイツのスパイ」と疑われ射殺されてしまう。この時に持ち帰った機密情報は、アーサーらが解読したばかりだった暗号文の「手書き文章」だったため、コンラッドの死後、(紆余曲折があったが最終的に)イギリスに勝利をもたらすことになる。
エミリー・オックスフォード|アーサーの妻。コンラッドの母親。南アフリカのボーア人の収容施設を訪れた際に銃殺される。「2度と戦争を息子に見せないで」と夫アーサーに言い残す。夫と共に赤十字の一員としてボーア戦争の際にボーア人収容所に医療品を届けに行っていた。
アルフレッド・ル・デュ・ポン|マタ・ハリがホワイトハウスに入り込むのを助けたアメリカの実業家。ウィルソン大統領のスキャンダルフィルムを元にウィルソンを失脚させ、闇の狂団の息のかかった人物を大統領にするように指示されるが失敗したため、アジトから逃げる際にモートンによって殺される。
ウッドロウ・ウィルソン|第一次大戦に参戦したことで、イギリスに勝利をもたらした。アーサーたちが、ドイツがメキシコと同盟してアメリカに攻め込もうとした資料を見せ、参戦するように仕向けた。シェフが作ったピーナッツバタークッキーと共に「マタハリとのスキャンダルフィルム」が手元にやってきたことで、戦争に参戦することを決める。こうしてイギリスはドイツに勝利。好みの酒は「ステイツマンのロック」。(このウィスキー「ステイツマン」の製造元は、前作、映画「キングスマン:ゴールデンサークル」で登場するアメリカケンタッキー州のウィスキー醸造所でありウィスキーブランド。この醸造所の実態はかつて「キングスマン」で服を仕立ててもらっていたメンバーが設立したアメリカの民間諜報機関。キングスマンとは姉妹関係だが、その関係は極秘になっている。)
ヴィルヘルム2世|ドイツ皇帝。問題児。祖母はヴィクトリア女王。
ニコライ2世|ロシア皇帝。国の政権をレーニンに奪われた後、家族との写真撮影の最中にカメラマンに銃殺される。このカメラマンはアドルフ・ヒトラー。祖母はヴィクトリア女王。映画「ラストエンペラー」で愛新覚羅溥儀は、「ロシア皇帝(ニコライ二世)は満州を奪った。」と話す。

フランツ・フェルディナンド大公|政治的野心を危険視されているため、サラエボ(当時はセルビア王国)を訪れた際はアーサーとコンラッドらが警備についていた。この「サラエボ事件」により第一次世界大戦が始まる。ちなみに、会見の後の移動中に、間違った道に迷い込んだのは、助手席に座る将校のせい。オーストリア皇帝の甥。
ハーバート・キッチナー|イギリス将軍。アーサーと近しい。モートンを副官としていた。
フェリックス・ユスポフ|コンラッドのいとこ。ニコライ二世の息子。1914年頃はロシア在住。ラスプーチンがいかに怪しいかをオックスフォード家に伝える。
ダグラス|ウィルソン大統領の執事で「キングスマン」に情報提供をしていた情報網の一人。「ステイツマンをロックで」と飲み物の用意を言い渡される。

トリビア

魔術師マーリン

黒人の使用人「ショーラ」が調達係でコードネームが「マーリン」となっているキングスマンエージェンシー。

マーリンは「アーサー王伝説」に登場する魔術師の一人で、ゼロックスを退社した二人が始めた「Adobe」も、この魔術師のことをいたくお気に入りのようです。

写真のレタッチアプリケーションAdobe Photoshopのイースターエッグには、マーリンが隠されている。レイヤーパネルのプルダウンメニューで、option/ Altキーを押しながらパレットオプションを選択すると、小さなダイアログ「マーリンは生きている!(Merlin Lives!)」が表示される。 Adobeのアプリケーションには、このイースターエッグのほか、マーリンが登場するパネルがいくつかある。一例として、Adobe Illustrator CS5.1では、リンクパネルのメニューからパネルオプションを選ぶと、パレットの上に並んだ小さな魔法使いが4人並んだイラストがサムネイル例として表示されている。この魔法使いがマーリンであるとの記載は、パネルオプションにはないが、Photoshopの「マーリンは生きている!」と同じイラストの魔法使いが描かれているのが見てとれる。

マーリン – Wikipedia

ちなみにゼロックス共同創業者の一人が、映画公開と同じ年に亡くなっていました。

Adobe PostScriptを発明、DTPに革命もたらしたチャールズ・ゲシキ氏逝去 – PC Watch

また「アーサー王伝説」がどのような形のプロパガンダなのかということは以下のサイトでわかります。

アーサー王

ローグ=荒くれ者が「ジェントルマンになった」

「我々はオックスフォードで、ローグではない」

初めてキングスマンで仕立ててもらった息子に、一族の過去を教え、「戦いを好む息子」を止めようとするアーサー。

「自分達はかつて冷徹で乱暴だったが、時代は変わりオックスフォードは貴族・ジェントルマンであり、ローグ=荒くれ者ではない。」

しかし、ラスプーチンを殺す時は「ローグ」になると決意したアーサーは、「息子を戦争に関わらせない」という妻との約束を破り、息子コンラッドをキングスマンエージェンシーに引き入れて、ラスプーチンを殺しに向かうのでした。

“rogue”は、もともと、「年を取って乱暴で危険になったために群れから追い出されたオス象」のことを“rogue”(はぐれ象)と呼ぶことから、“go rogue”として「危険で予想外の行動を取ること」を意味するようになり、危険な乱暴者などを“He’s a rogue elephant.”と言うようになりました。

サイバー兵器から始まる「最悪のシナリオ」:ディルバート(479) – ITmedia エンタープライズ

青酸カリとアーモンド|ベイクウェルタルトとラスプーチンの「洗脳方法」

劇中で、ラスプーチンが、ニコライ二世に近づき、一家を意のままに操っている様が描かれます。

洗脳されたニコライ二世一家を助けるために、ラスプーチン殺害に向かったのが、今作の主人公アーサーと正式な設立前の「キングスマンエージェンシー」の面々。

当時は使用人の情報網程度の諜報機関でしたが、戦争に行きたがるアーサーの息子コンラッドも初めて「戦争の前線」に行くことになったのが、怪僧ラスプーチンとの対決でした。

その際、アーサーたちは甘いものが好きなラスプーチンに、使用人のポリーがつくる「毒(青酸カリ)入りベイクウェルタルト」を食べさせ殺害を試みます。

しかしラスプーチンは、普段から青酸カリを少量ずつ摂取しているため、嘔吐する程度で、全く毒が効かないという状況。

しかもこの青酸カリは「アーモンドの香り」と似ているそうです。

初めて知りましたが、アーモンドには、そんな意味があることに驚きでした。

そんなラスプーチンがニコライ二世一族を洗脳する方法として描かれていたのが、またしても「毒」

ニコライ二世の夫妻の息子に少量の「アヘン入りお菓子」を食べさせ、具合の悪くなった息子を介抱して助けることで、ラスプーチンは夫妻の信頼を勝ち取るのでした。

その上、夫妻にもアヘンを飲ませるという描写もありました。きっと、聖なる水だとかなんとか言って騙したのでしょう。

こうしてラスプーチンの意のままになったニコライ二世のロシアは、黒幕「モートン」の望むままに戦争に突入しそうになりましたが、アーサーたちが直前で阻止することに成功したのでした。

この作戦が失敗したために、モートンらは、ドイツ皇帝に取り入って再び戦争を仕掛けようとします。

この際にメキシコと同盟を結びアメリカに戦争を仕掛けることで、イギリスが孤立するようにしようとしたモートンらでしたが、その際の暗号電報である「ツィンメルマン電報」の内容をイギリス側に解読され、この計画も失敗に終わりました。

この際に裏で暗躍していたがの、アメリカ大統領ウィルソンを「ハニートラップ」で意のままに操ろうとした女性スパイ、マタ・ハリと、彼女をホワイトハウスまで引き入れた、実業家のデュポン。

これが「第一次世界大戦」の裏で起こっていた「情報戦」だったといのが、今作の物語です。

果たして、イギリスの仕立て屋にこのような諜報機関があるのか。

実際にあるとしたら、この物語はほとんど「事実」と言えるのか。

今後も、調べを進めていければと思います。

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